身近な不便から開発した新規事業例-キッズベースキャンプ-

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“キッズベースキャンプ”が提案する新しい学童保育のカタチ

 2006年に開発した、”キッズベースキャンプ”というプロジェクトについてお話しします。このプロジェクトは、社会で活躍する女性たちを応援するために生み出されました。近年、女性の社会進出が加速し、共働き家庭が増えています。特に子育て中の共働き世帯、いわゆる「DEWKS」が急増中です。

しかし、そんな家庭の多くが、「子供を預ける場所がない」という深刻な問題に直面しています。学童保育の待機児童数は年々増加傾向にあり、核家族化が進んだ現代では、頼れる親族もいないケースが少なくありません。仕事に出ている間、子供を安心して預けられる場所がなく、育児と仕事の両立に悩むワーキングマザーは数多くいます。「仕事から帰宅後も家事や育児に追われ、自分の時間がまったく取れない」、「買い物にも行けず、ゆっくり休む暇もない」といった切実な声を、私たちは数多く耳にしてきました。そこで私たちは、働くお母さんたちの新しいライフスタイルに着目し、”キッズベースキャンプ”を立ち上げました。

 多くの学童保育は行政が運営しており、安価で子供を預かってくれる場所というイメージがあるかもしれません。しかし、実際のサービスの内容を見てみると、いくつかの問題点が浮かび上がってきます。まず、行政都合のサービスであるがゆえに、質の低さが目立ちます。預かり時間が短く、宿題のサポートなどのフォローがないことが多いのです。また、サービスの対象となる年齢に制限があるため、継続的に利用することが難しいという問題もあります。さらに、多くの学童保育は補助金に頼っているため、ビジネスとしての採算性が取れていないのが現状なのです。

 

出典:東急キッズベースキャンプ

こうした状況を踏まえ、「キッズベースキャンプ」では、従来の学童保育のあり方を見直し、母親たちの本当のニーズに合ったサービスを提供することで、学童保育から学童育成業へとサービスを転換していくことにしました。具体的には、預かり時間を最長夜10時まで延長し、宿題のサポートも行います。さらに、全学年を受け入れるため、年齢制限の壁を取り払いました。保育資格を持つスタッフを揃え、サービスの質を高めることで、補助金に頼らない収益構造を実現しています。適正価格での提供により、利用料金は従来よりも上がっていますが、私たちは民間企業であるからこそ、利用者が本当に必要としているサービスを柔軟に提供できるのです。また、東急沿線にドミナント展開することで出店コストと認知コストを下げ、受入人数を増やすことで業務委託費を抑えています。サービス開始当初はDEWKS向けの学童施設サービスでしたが、現在では学童専門の資格「キッズコーチ」を作り、公的施設利用者向けに派遣したり、公的施設から学童運営を受託したりしています。このように、「キッズベースキャンプ」は、従来の学童保育の枠にとらわれない、新しい学童保育のカタチを提案しています。

身近な不便が、あなたのビジネスチャンスに!

 いかがでしたでしょうか。新しいチャンスを見つけるには、まずは身の回りの小さな不便から目を向けること。そして、それを解決するために、従来の枠にとらわれず、柔軟なアイデアを生み出すことが大切です。あなたも今、一歩を踏み出してみませんか?新たなビジネスのチャンスは、もしかしたら身近なところにひそんでいるかもしれません。